ラスベガスで開催されたCES2018で発表された電源付きクレジットカード。実用化は近い。
バッテリーを内蔵することによって、これまでの静的なプラスチックカードより、便利で安全な仕組みが実現できる。決済に利用するときだけ電源をオン、電源がオフのときは機能しない。紛失・盗難時など手を離れたときでも安心だ。三井住友カードが発表したものは、電源がオンのときのみ、カード番号の一部を表示する。
これは数年前だが別の取り組みとして、MasterCardとZwipe、世界初の指紋センサーを搭載した生体認証機能付き非接触決済カードを発表した。発表を視ると端末の電源を使うことになっているが、カードに電源を内蔵することができれば、全世界にある既設の端末がそのまま使えることになる。
また、一枚に複数のクレジットカードを内蔵し、切り替えて使うことができる「Wallet Card」も登場する。ユニバーサルクレジットカードと呼ばれるこの仕組みは、Coin、Swyp、Plastcなど複数のプロジェクトが立ち上がっていたが、CESでの発表はどのアーキテクチャだろうか。
そのうち「Plastc」は資金が枯渇したが、2017年12月14日に Edge Mobile Payments が買収。Edge Cardのリリースを進めている。このエッジカードは、複数の支払いカードの情報を1つのダイナミックカードに保存、ユーザーは3つの主要な支払い方法(magstripe、EMVチップ、NFC)で支払うことができるというもの。
いずれも端末側での対応は不要で、既存のインフラが使えるのが良いところ。ただ技術的に実現可能だとしても、製造コストが高ければ普及は難しい。すでに製造コストがかかるメタルカードが発行されているが、年会費が高額なカードだ。カード発行時のオプションとしてユーザ負担にするコンセンサスが得られるか。それとも年会費として徴収し、一部のコストを転嫁するか。カードの製造コストをユーザではなくカード会社が負担する限り、年会費無料カードがこれらのエレクトリックカードを採用することは当分無いだろう。